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CEOメッセージ

2026年9月

代表取締役社長執行役員 CEO 春山 裕一郎
お伝えしたいこと

2025年度の振り返りと今後の外部環境の見通し

2025年4月に社長執行役員CEOに就任し、同年6月には代表取締役に就任しました。前年度の好業績を踏まえ、新しい経営チームの下、高付加価値品の拡販や事業ポートフォリオ高度化、経営会議の諮問機関である人財委員会を軸とした人的資本経営の推進など、成長戦略と経営基盤強化に取り組みました。しかし、昨年6月の米国環境保護庁(EPA)によるバイオ燃料混合義務量引き上げ計画の発表を契機に、オイルバリュー高騰とミールバリュー低下が進み、油脂のコスト環境は大きく悪化しました。その結果、2025年度は前年比で減収減益となりました。

2026年度に入っても、オイルバリューが高騰しミールバリューが低下した状況の継続に加え、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇により、物流費、エネルギーコスト、包装資材費などが上昇し、事業環境は一段と厳しさを増しています。しかしながら、予期せぬ市場環境の変化があっても、それを乗り越え成長につなげることが上場企業としての使命です。当社グループは、販売価格改定の完遂、dX推進による業務変革、高付加価値領域の拡大を最優先課題として取り組んでいます。第六期中期経営計画は未達となる見込みですが、その事実を真摯に受け止め、収益力の早期回復と次期中期経営計画における成長基盤の確立に全力を尽くしていきます。

次期中期経営計画の方向性と注力領域

顧客志向の進化を起点とした成長戦略

外部環境が激しく変化する中、CEOとしての私の使命は、変化を前提に未来を切り拓く方向へ会社を導くことだと考えています。当社グループは「Joy for Life® -食で未来によろこびを®-」を目指すべき未来(ビジョン)として掲げており、社長就任以来、その解像度を高めたいと考えてきました。5年後、10年後に目指す姿をより明確にし、事業戦略や従業員一人ひとりの行動につなげていきたいと考えたからです。もちろん、事業環境の変化に応じて未来像も変化していく可能性はありますが、現時点でのありたい姿と進むべき方向性を明確にし、その実現に向けて挑戦を続けることが重要と考えています。

この一年、経営チームで当社グループの強みや成長機会について議論を重ね、コア事業の強靭化・高度化を基盤として、将来の成長に向けた三つの注力領域を定めました。
現在は、この考え方を踏まえ2027年度を開始年度とする次期中期経営計画の策定を進めています。

コア事業の強靭化・高度化

現在の油脂を中心とした事業を「コア事業」と位置付け、徹底的な効率化を図り「キャッシュカウ(金のなる木)化」の実現を目指します。dX活用による業務プロセス改革やコスト構造の見直し、人員配置の最適化を通じて、安定的なキャッシュ・フロー創出基盤へ転換を図ります。

注力領域1: 統合ソリューションデザイナーへの進化

従来の油脂・スターチ製品の提供に加え、他の素材や周辺サービスを組み合わせることで、お客さまの課題に対する解決力を高めます。素材の提供にとどまらず、「おいしさ」を実現するプロセスそのものに踏み込むことで、これまでにない課題解決や価値の提供を目指します。

注力領域2: 生活者未充足ニーズの解決

簡便性・健康・高品質といった付加価値を軸に、既存のオリーブオイルやサプリメントオイルなどを含め、新たに生活者ニーズに応える製品開発とブランド強化を進めます。量的拡大だけでなく、商品力とブランド価値向上を通じて選ばれる理由を明確化し、収益性の高い事業構造への転換を図ります。

注力領域3: サステナビリティへの貢献

環境負荷低減に加え、人手不足・労働負荷の低減といった社会課題の解決に資する製品・サービスの提供を強化します。当社グループでは、これまで、お客さまの労働負荷の低減に貢献する長持ち油や、プラスチック使用量の削減に寄与する紙パック油など、「おいしさ」「健康」に加え、「低負荷」という価値の提供に取り組んできました。今後は、これらの強みをさらに進化させるとともに、SAF(持続可能な航空燃料)の原料などバイオ燃料関連も含めた新たな成長機会の取り込みを推進することにより、社会のサステナビリティへ貢献していきます。

これら三つの注力領域への取り組みを通じて、お客さまや社会への提供価値を高めるとともに、収益性と成長期待の向上を実現し、企業価値向上につなげていきます。次期中期経営計画においては、上記の注力領域を明確にするとともに、それを支える財務・製造・知的・人的・社会関係・自然資本などの経営資源と、そこから創出される経済的価値・社会的価値とのつながりを、価値創造プロセスとしてより具体的に示したいと考えています。

企業価値向上に向けて強化する取り組み

2026年度を最終年度とする現中期経営計画については、当初想定を超える外部環境の変化の中、油脂事業の収益力向上や新規事業・海外事業の収益化に課題を残しています。株式市場からの評価は厳しく、PBRは1倍を下回る状況にあり、この事実を真摯に受け止めています。

足元の業績は不十分ですが、一方で2025年度は次の成長に向けた具体的な取り組みが動き始めた一年でした。成長戦略では、「おいしさデザイン®」提案を含めた高付加価値品・サービスの拡大を進め、家庭用オリーブオイルや業務用長持ち油「長徳®」の販売が順調に拡大しました。また、北米では味の素グループのAjinomoto Health & Nutrition North America, Inc.社との協業体制を構築しました。既存製品の販売拡大に加え、新たな油脂製品の事業化やラインアップ拡充に向けた取り組みを進めています。さらに、海外M&A推進体制の整備やスペシャリティフード事業の構造改革、CCC短縮、政策保有 株式の削減など、成長基盤・資本効率の強化に向けた施策も着実に進展しています。

PBR逆ツリー展開

今後は、PBR向上に向けて「利益率の向上」と「期待成長率の向上」を最優先課題として取り組みます。

利益率の向上は、足元では価格改定の完遂が重要となりますが、単なる収益の極大化ではありません。お客さまや社会の課題解決を通じて適正な利益を創出していくことであり、当社グループの目指すべき未来(ビジョン)である「Joy for Life® -食で未来によろこびを®-」にも通じる考え方です。

当社グループは、油脂の販売を通じて幅広いお客さまとの接点を有するとともに、油脂と独自の機能性スターチを組み合わせることで、お客さまのさまざまな課題を解決するソリューション提案、すなわち「おいしさデザイン®」を強みとしています。今後は、これまで蓄積してきた経験や知見に加え、従来は料理人の技術や経験により導き出されていた「おいしさ」に科学的な解釈を加えることで、「おいしさデザイン®」をナレッジとして体系化し、その提案力をさらに高度化していきます。お客さま自身も気づいていない潜在的な課題に対し、独自のソリューションを提供することで差別化を図るとともに、このナレッジを活用した新たなビジネスモデルの構築やASEAN・北米を中心とした海外への展開を進め、当社グループならではのポジショニングを確立していきます。

さらに、現在策定を進めている次期中期経営計画の注力領域に沿った取り組みを通じて、高付加価値領域の拡大と事業ポートフォリオの高度化を進めていきます。これにより、国内油脂事業への依存度を低減するとともに、収益基盤の安定化と成長力の向上を図り、企業価値向上につなげていきます。これは株主資本コスト算定モデルであるCAPM(株主資本コスト算定モデル)の観点からも、事業リスクの低減によるリスクプレミアムの低下を通じ、資本コストの低減に資するものと考えています。

また、ESGに関する取り組みを着実に推進するとともに、その進捗や成果を株主・投資家をはじめとする外部ステークホルダーへ継続的に発信することで、当社グループへの理解と評価の向上につなげていきます。事業の持続性や成長性に対する信頼を高め、結果として株主資本コストの低減に寄与するものと考えています。そのため、今後も株主・投資家を含む外部ステークホルダーとの対話を一層強化していきます。

中長期的な株主還元方針についても見直しを進めています。油脂を中心としたボラティリティの高い事業構造からの転換を図り、収益の質を高めることで安定的なキャッシュ創出力を強化し、従来の配当性向に加え、DOE3%水準を意識した配当方針への転換を目指していきます。

経営基盤強化に向けたサステナビリティ経営と人的資本

当社グループは、環境・社会課題の解決と企業価値向上の両立を目指すサステナビリティ経営を推進しています。その推進体制として、取締役副社長執行役員CTOを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、全社横断の体制で、環境、人権、調達、物流などの重要課題に関する取り組みを推進しています。気候変動や人権などの各種課題への対応については、目標の達成に向けて着実に進展させています。2026年度からは、同委員会内に「サステナビリティ方針策定チーム」を設置し、外部トレンドの把握と当社グループにおける取り組み方針を検討するインテリジェンス機能を整備しました。現在、SSBJ基準への対応も見据えながら、中長期的なサステナビリティ方針の策定を進めています。

サステナビリティ経営の実現を支える最も重要な経営基盤が変革と成長を担う人財と組織風土であり、人的資本経営を中核テーマの一つに位置付けています。一人ひとりの専門性向上と働きがいの実現に加え、多様な人財が自律的に行動し環境変化を先取りしながら共創を生み出す組織づくりにこだわっていきます。技術革新が進む中、従来の延長線上の発想や業務の進め方では競争優位性を維持することが難しくなっています。当社グループが社会に必要とされ続けるためにも、新たな価値創出に挑戦できる人財の育成が重要です。そこで「人財委員会」を設置し、人財戦略の策定と実行をより体系的に進めています。とはいえ注力すべきテーマが多岐にわたることから、優先事項を厳選し、昨年度は次世代経営人財の育成基盤整備に集中して取り組み、育成投資を開始しました。2026年度は次期中期経営計画の事業戦略と連動した人財ポートフォリオの具体化と体制整備計画の策定を進めています。

また、社内のベクトルを合わせ、組織の一体感を醸成するため、経営メンバーと従業員との双方向コミュニケーションを重視しています。2025年度は国内外で44回の対話会を実施し、「当社グループをこのように変えていきたい」という意思や経営の方向性を共有した上で意見交換を行いました。その結果、従業員エンゲージメントサーベイのスコア向上が確認されました。一方で戦略浸透には課題が残るため、2026年度は次期中期経営計画の方向性や注力領域に関する考え方を共有した上で、事業戦略への提言や従業員自身や職場での取り組みについて考える機会を設けながら対話を深めています。こうした取り組みを通じて、自律的に考え行動する組織文化の定着を進めています。

dX推進による業務革新にも注力しています。これまで経験や勘に依存してきた業務プロセスを、客観的なデータに基づく判断へと転換し、効率と効果の最大化を図ることが大きな狙いです。例えば営業・マーケティング領域では、価格改定シミュレーションやマーケティング施策の投資採算性を可視化する仕組みを活用し、目的に応じた最適な打ち手を選択できる環境を整備しています。また、サプライチェーンマネジメント領域では、全社的なシステム導入を通じて、コスト変動に応じた価格政策や販売方針をサプライチェーン全体で整合的に運用できる体制の構築を進めています。こうした業務革新は、従業員一人ひとりの能力発揮を後押しし、人財価値の最大化につながるものと考えています。

また、国際情勢や市場ニーズの変化、テクノロジーの進化など、外部環境が急速に変化する中、経営に大きな影響を及ぼすリスクを適切に把握し対応するため、代表取締役社長執行役員CEOである私を委員長とする「経営リスク委員会」を設置しています。2026年度は15の経営リスクを選定し、それぞれの影響度や発生可能性を踏まえながら対策の進捗をモニタリングし、リスク低減に取り組んでいます。

マテリアリティの一つである「コーポレートガバナンスの強化」については、取締役会実効性評価の結果を踏まえ、中長期的な企業価値向上に向けた議論の充実を図ってきました。2025年度は戦略に関する議論の質が向上したとの評価を得ており、今後も監査役会設置会社としてのモニタリングボードのあるべき姿を追求しながら、ガバナンスのさらなる高度化に取り組んでいきます。

ステークホルダーの皆さまへ

油脂業界は現在、大きな変革期にあります。AIの進展や社会構造の変化により、従来の延長線上では競争優位性を維持することが難しい環境となっており、変化を先取りした取り組みが必要です。こうした中で重要となるのが、お客さまや社会の潜在的なニーズを見極め、新たな価値を提供していくことで、存在意義の向上と持続的な成長を実現していきます。

当社グループは旧事業会社の創業から数えて200周年という節目を迎えました。旧事業会社が大切にしてきた商売の基礎に立ち返り、「顧客志向の進化」に取り組みます。新たな価値提供を通じて人々の暮らしに貢献し、目指すべき未来(ビジョン)である「Joy for Life® -食で未来によろこびを®-」の実現に向けて挑戦を続けていきます。今後ともご支援を賜りますよう、お願いいたします。

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